シチズンQ&QファルコンD026

シチズンQ&QファルコンD026シチズンというと「ザ・シチズン」のような高級時計を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし、安価な時計に名作が多いのもシチズンという会社のすごさ。今回ご紹介するこちらのシチズンQ&QファルコンD026も、そうした名作の一本かと思います。何といってもこの時計、Amazonで送料込でわずか1480円。送料を抜いたら、時計そのものの実売価格はおよそ1000円。ものすごく安価です。

マニアも存在する1000円時計市場

時計に何を求めるか?にもよるのですが、正直、時間を知るための道具ということでしたら、今の時代、クオーツの時計なら何を買っても満足のいくレベルです。
特に腕時計というのは普段から身に着けるものですし、大事に扱っているつもりでも、擦り傷は付くし、思ったより痛みやすいものなのです。それがわかると、おいそれと高価な時計を普段使いで使うわけにもいかず、「安価でオシャレ」な時計があれば、それを普段はすればいいと考える方も多いかと思います。
そんな方にお勧めしたいのが、こうした1000円時計です。

時計がお好きな方は、最初から見向きもしないかもしれないのですが、実はこうした時計をよくよく見てみると、中には信じられないくらいクオリティの高い品があって驚かされます。価値がわかる方にこそ、よく見てみてもらいたいと思うのです。
実際、こうした1000円時計には一定層のマニアが存在します。あまりに種類が多すぎるので、ドレスウォッチなのか、ミリタリーなのか、はたまた遊び時計なのか、一つのテーマを決めて収集する方を見かけます。とはいえ安価ですので、自分の好みにカスタマイズをしたり、いわゆる魔改造を施すなどして、どこかにオリジナリティを加えて使う方が多いようです。つまり、これら1000円時計はカスタマイズのベースでもあるのです。

廉価な時計はミリタリーウォッチから探す

D026シチズン

今回のD026は、ミリタリーウォッチのデザインと、ドレスウォッチのデザイン、二つの要素を足して2で割ったような時計です。
ダイヤルを見ると、外周の12時間表記に加え、内側の24時間表記。そして視認性に優れる太い針。さらにリューズガードを設けたケース。これらを見るとミリタリーウォッチ特有のデザインであることに気が付きます。
それでいて薄めのベゼルにステッチを入れた革(合皮ですが)のベルトという、どこかドレスウォッチを感じさせるデザイン要素を見事に融合させています。
一見チグハグなのですが、見れば見るほどバランスがとれていて、よく出来たデザインであることがわかります。何せダイヤルと針のデザインはミリタリーウォッチそのものですから、視認性に優れるのは当たり前。さらに視認性を良くしているのが針に塗られた蓄光塗料です。こんな安価な時計なのに、蓄光塗料を使ってくれるなんて、シチズンさんは本当に親切さんです。暗い場所でも短時間であれば時間を知ることができます。とはいえ、実はこうした廉価時計で蓄光塗料を塗布している時計って少ないんですよ。

さて、ミリタリーウォッチというのは大量生産でき、視認性に優れることが条件ですから、そもそも論として高級な時計は存在しません。インデックスは安っぽいプリント、割れても危険が無いように風防もプラスチック。これが普通なジャンルなのです。ミリタリーウォッチの名門タイメックスの作品であろうが、日本のブランドともいえるセイコーの作であろうが、造りは大して変わりません。「安っぽいのがデフォルト」なのです。
当然、このD026は、世間に出回っているミリタリーウォッチに比較して圧倒的に安価なのですが、それでも安さを感じさせないのは、安っぽいことを良しとするミリタリー的要素をうまく取り入れているからなのでしょう。たぶんシチズンは、こういうミリタリーウォッチが持つ特性を理解した上で、この時計のデザインに活かしていると私は考えています。ドレスウォッチを1000円で作ろうとすると限界がありますが、ミリタリーウォッチなら、1000円でもかなり良い勝負ができる。そう思っているのではないでしょうか。
こういった事情から、廉価な時計を探すなら、まずミリタリータイプを見よと私は常々力説しているのです。その点から言っても、このD026は大変よく出来た時計です。

ベルトを換えると一変する印象

ベルトを換えたシチズンQ&QファルコンD026

試しにベルトを換えてみましょう。上記の写真がそれです。いかがでしょうか?よりミリタリーの要素が強まり、安さを感じさせない出来栄えではないでしょうか?シンプルでむしろカッコいい。
このベルトはMissTalk(ミストーク)の本革スエードで、Amazonでは送料込でたった900円です。時計が1480円ですから、合計2380円です。そうは見えませんね。こうやって安価にカスタマイズする楽しみも、廉価な時計ならではです。

基本性能も折り紙つき

D026はシチズンの製品ですから、当然中のムーブメントはシチズンミヨタのクオーツです。立派なマニュファクチュール時計ですね。
シチズンミヨタといえば世界一クオーツムーブメントを作っていると言っても過言ではない会社ですから、信頼性は抜群です。中に入っているCal.2115は、三針日付ありムーブメントとしては一番数が作られているモデルではないでしょうか。
いわゆるデザイナーズブランドの日付表示機能ありのクオーツ時計には、このCal.2115を搭載していると思われるものが本当に多いです。最近多くなっている北欧あたりのデザイナーズブランド(ほとんどが中国製)の中にも、このムーブメントだろうと思われる時計が多い。そのくらい世界中で使われているものなのです。
シチズンミヨタのムーブメントってだけで、本当に安心できますよね。

ついに派生モデルも登場

シチズンQ&Q二種類の比較

このD026。売れているのでしょうね、2018年11月、派生モデルまで登場しました。それがQB38というモデルです。同一のケースを使い、針とダイヤルデザインを一新し、ムーブメントは日付表示無しのCal.2035を搭載。そしてベルトをナイロンベルトにしてきました。合皮を使うくらいならいっそのことナイロンにしてしまう。この割り切りは良い判断だと思います。残念ながら針の蓄光塗料は無くなりましたが、視認性の良さは受け継がれていると思います。

シチズンQ&QファルコンD026は買いか?

明らかに買いです。合皮のベルトに我慢できるのでしたら、ステッチ入ってオシャレですし、さほど悪いものではありませんから、このまま使っても良いでしょう。
もちろんベルトをナイロンのNATOタイプにするなども良いでしょうし、先にご紹介したようなスエードも似合います。そうやってカスタマイズしても安価に楽しめます。
視認性が良いので老眼で細い針が苦手な方も良いと思います。あくまで普段使いという前提ではあるのですが、一本買っておいても損はありませんし、一度使うと安いので気兼ねせず使え、結局普段はこれをいつもしている、そんなことになりそうな時計です。