シチズン機械式 クラブ・ラメールThe Marine

クラブ・ラメール限定500本モデル

シチズンのクラブ・ラメールの登場です。昔一世風靡したシリーズですが、機械式になって復活しましたね。しかもこの「The Marine BJ7-018-70」は限定500本モデルということで、これは買っておこうかと思い、一本買ってみました。
シチズンの時計は実は万のケタのものは初めて買いました。シチズンというと私が集めているのはかなり安価なQ&Qですので、3万円というとQ&Qが10本買えてしまいます。さて、10本分の価値があるかどうか。
また、同一価格帯ですとセイコープレザージュやセイコーメカニカルシリーズがあり、こちらも私はかなり数を持っています。これらセイコーのライバルと比べて当機がどう見えるか?
さらに、先日、新興メーカーであるknotのAT-38という機械式を入手しました。これに搭載されているのがシチズンミヨタの9015というムーブメントです。つい最近、シチズンが機械式ムーブメントの技術継承のために作ったという8振動の外販用ハイビートムーブメントで、これがとてもよかったのです。姿勢差に強く、日差は平均で+2秒程度しか出ません。多く見積もっても±3秒程度に収まっています。最近はセイコーの6R15も精度で言えば極限まで安定していますので、すごいレベルの高い競争という印象です。このミヨタ9015が良かったために、今回初めてシチズンの普及価格帯とはいえ機械式を買い求めることになりました。
シチズンQ&Qの10倍とはいえ、機械式時計の入門機クラスの価格帯ですから、過度な期待はしないように見てまいります。
パーツ個別の評価は以下のようになります。

ケースは至って普通だがハック機能は欲しいケース裏面

青いスケルトンの裏蓋ガラスを通してルーペで観察して見ると、8229Bの刻印あり。CITIZEN-Miyota 82XXですね。いわゆるミヨタ82系と呼ばれて親しまれているミヨタの代表的な自動巻きムーブです。長い歴史がありますから性能は安定しているはずです。
安価な普及価格帯ムーブメントですからハック機能はありませんが、同じセイコーのハック機能無しの普及品である7S26などと違って手巻きによる巻き上げはできるようになっています。ここはセイコー7S26に比べてのアドバンテージでしょう。とはいえセイコー7S26は数千円の時計であるセイコー5シリーズのメカだし、当機の3万という値段だと、どちらかというとセイコープレザージュの低価格帯の4R系搭載モデルと似たような価格帯になるのですからハック機能は欲しいなあ。

裏蓋はスケルトンですが、青いガラスなのはなぜだろうか。最初はキズ付防止のシールが青いのかと思ったのですが、シールは透明でした。せっかくスケルトンなのだからもっと良くムーブメントを見せてほしいです。

ケースは私が見た感じ、値段相応の造りです。とはいえ、昔の安価な時計のように表面が波打つようなこともありませんし良いのではないでしょうか。ただ、全体が光沢仕上げのため、立体感という意味では少々さびしいかもしれません。ヘアライン加工をどこかに加えるなど、デザイン的に考える余地はあるようにも感じますが、そもそもこの形状ではヘアラインを入れるにしても、どこに入れたらよいかわからない。だからよしとしましょう。

ダイヤルとインデックスは少し頑張ってほしい

The Marineケースとダイヤル

オープンハートダイヤル、同心円状に輝きが模様になる仕上げです。照明の角度にもよりますが、なかなかキレイです。
インデックスはアップライドではありません。プレス加工です。ですので、重厚感のようなものはありませんね。シワが出ないギリギリの角の出し方ですが、もうちょいキレ良く加工してくれたら、もっと立体感が出たでしょうね。材質的なものでしょうか。セイコーのプレザージュやメカニカルシリーズあたりですと、この値段ならアップライドをしてきますから、コスパという意味ではちょっと負けている気がします。
風防はミネラルガラスです。標準的なものでしょう。平らなものでドーム型ではありませんが、視認性は良いです。心なしかQ&Qのミネラルガラスより反射の感じが少なくコーティングが良い、もしくはガラスの質が良いような気がしますが、気のせいか、それとも値段が良いから本当に良いのか?ちなみにこの価格帯ではサファイアはほとんどありません。サファイアは最低でも5万円以上の価格の時計からになりますので、ミネラルであることが競争力を損ねることはありません。

以上、ザッと細部を見た感想でした。私が普段目にしているシチズンというとコスパの高いQ&Qですから、3万もすると厳しい観方をしてしまいますが、全体としては値段相応、もしくはちょっと高い気がする程度でしょうか。もともとこのクラブ・ラメールというシリーズはもうちょい安価な価格設定で、2万円台の中盤が中心です。当機だけは限定モデルですので、その分少々お高くなって3万円少々という感じでしょうね。記念価格と考えれば納得できる程度のことです。

悪いところを探しても、「ありません」という感じですが、セイコーの3万円台のような「すげえな、この値段でよくこういう造りをしているよな!」という驚きがあるわけでもなく、普通の、この値段の時計という印象です。

クラブ・ラメールThe Marineは買いか?

印象としては普通の造りです。限定品ですからこのデザインが欲しい、好きと思ったら、買うべきでしょうね。限定品ということで5000円割増という印象でしょうか。
とはいえ客層によってかなり評価が分かれるのも、この時計だと思います。
普段機械式時計を持っていない、または時計にそこまでうるさくない方なら、まったくもって問題ないと思います。凝ってはいませんが、値段相応の良心的な造りではありますから、ご心配は無用です。良いのではないでしょうか。
しかし、もしも時計にかなりコダワリがあり、普段から10万円前後の時計を見慣れているようなら、ちょっとやめておいたほうがいいかな。造りが古い&安価な造りなのは否めませんので、そういうところが鼻についてしまうかも。

機能美、加工美、背景美という観点から見ると、機能は正直なところ、ハック機能が無い段階で削られている気がしてしまうので、少々難あり。加工美という観点からするとインデックスがプレスだったり、ケースの加工が一様で単調だったりと、若干の難あり。背景美というところは、クラブ・ラメールのブランドが復活したというところは美しいかなと思いますし、限定品に限って言えば、限定であるというだけで、まあまあの価値を感じる。そんな感じかなと思います。